true harmony

短文文化のこの時代に、感じたこと、考えたことを徒然なるままに。

【感想】ヴァイオレット・エヴァーガーデン - 全てが綺麗な物語。文句なしの傑作。

ずっと観たいと思っていた作品を一日で一気に見た。

京都アニメーションの集大成

京都アニメーションが今までの作品で培ってきた表現をフルに活かして昇華させた、間違いなく名作と言える作品だった。

思わず息を飲むような星空、風になびく髪の毛の表現。過去の京都アニメーションの作品でも思わずグッと来た表現たちが、活かされている。

舞台は西洋で、キャラクターたちの絵はとにかく繊細で美しい。日本人なれしたこの絵は、美しすぎるこの物語にぴったりで、Netflixで世界に配信される作品としても全く恥じない、むしろ日本のアニメの誇りとも言えるほどの絵だ。

ヴァイオレット・エヴァーガーデンは、今までのアニメという枠を飛び出している。映画レベルの全体の統一感、申し分のないBGM、商業アニメでは敷居が高いような、大げさじゃない「ため」の表現。自信をもっておすすめできる大傑作。

手紙

ほとんどずっと泣かされた。冷徹で愛を知らなかった少女が抱えた罪と向き合いながら愛を知っていく物語は、個人的な背景とも重なってとても共感した。自分は生きてはいけないのだと、幸せになってはいけないのだと責めていた自分。だけど、たくさんの人を愛を知っていって、たくさんの人の愛を繋いで、幸せを生んで、自分がいることの意味にふれていく。

自分の傷みに鈍感だった少女は、人の感情がわからない。人が言葉にしない感情や人の嘘がわからない。かつての自分みたいだなあって思う。

テーマが手紙なのが本当に素晴らしい。手紙は偽りの感情は書けない。本人を目の前にすると照れくさくて言えないこと、逃げてしまうこと、自分でも向き合わない本当の気持ち。手紙はそれらを載せることができる。

おばあちゃんがいつも手紙を贈ってくれて嬉しい。忙しくて返事がないがしろになってしまうことが多いけれど、ちょうど先週返事を書いた。たくさん書いた。その手紙をお父さんやお母さんが読むことも想像して、そういったことも思いながら言葉を綴った。手紙を書く時間は、自分が自分になれる。自分の気持ちに正直になれる。とっても綺麗な時間だ。

ヴァイオレット・エヴァーガーデンは、とにかく「綺麗」という言葉が似合うアニメなのだ。出てくる一人ひとりの個が、純粋で愛にあふれていて、その心の動きすらも綺麗だ。

現代だから生まれた作品

現代だからこそ生まれてきたアニメだとも思った。最近の作品は、アイデンティティであったり個をより深く掘り下げたものが多いように感じる。一昔前はヒロイックであったり、かっこよかったり、仲間っていうものの大切さをテーマとしたものが多かったように感じる。

それと対象的に、より繊細な心の動きだったり、愛について、自分の生きた背景や親との関わりについての作品がたくさん登場してきた。僕はこれをとてもいい流れだと思っている。本当にこれから生まれていく作品がたのしみだなあ。

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