true harmony

短文文化のこの時代に、感じたこと、考えたことを徒然なるままに。

見学旅行の散髪に失敗した話

見学旅行生たちを見て、思い出したこと。

内定先の研修に行くべく、朝から空港に行くとたくさんの高校生であふれていた。そう、今日は彼らにとって人生最初で最後の見学旅行の日だ。

僕にとって見学旅行とは忘れもしない、人生で最も髪が短かった時期だ。見学旅行となるとみんなこぞっておしゃれに散髪する中、僕は髪型自分史上、最大の冒険に出た。今日はその髪の話をしよう。

パンクなお姉さんとシドヴィシャス

中学時代に通っていた塾、畜大錬成会の隣にある美容室に私はきている。散髪は久しいので、うっとうしくて仕方がなく大胆に切ろうと決意した。

そんな僕を担当した美容師さんは、マンガでパンクバンドのボーカルをやっていそうなショートカットの女性である。

当時僕は銀杏BOYZコピーバンドをはじめたころで、その話でこのお姉さんと盛り上がりに盛り上がった。お姉さんもかつて銀杏BOYZのコピバンをしていたらしく、バンドトークにのめり込んでいく私たち。

だんだんとテンションが上がってきたお姉さん。「ロックに行っちゃいましょ!」と髪をズバズバと切る。 僕は内向的な性格なので、髪はおとなしくいきたかったのだが、プロの意見を尊重するのが僕のスタンスだ。

と、そのとき 「前髪形くずれちゃいました!短くして整えますね!」 このやりとりをお姉さんは数回繰り返した。もう一度言おう。数回である。

当然のごとく僕の前髪はほとんどなくなった。こんなにもおでこが空気にふれることは、肌寒いと同時に開放感があることなのか。若くして髪が薄くなったときのシミュレートができてラッキーかもしれない。おじさんになったら帽子が必須だろうから、帽子の似合うダンディな大人を目指そう、そうしよう。

オールバックと広島焼き

かくして僕はシドヴィシャスさながらの、 オールバックのパンキッシュヘアで見学旅行にのぞむこととなった。

クラスのみんなに会うなり、笑われるわ笑われるわ。見学旅行マジックに胸を踊らせる少年少女も多数いるに違いない。そんな中で僕だけ、見学旅行パニックであり、見学旅行開始前のアイスブレイクのだしとなったわけだ。

そして、他クラスの友達に空港で命名された僕を形容する言葉は「焼け野原」であった。チリチリのパーマならぬ、散り散りの雑草のようなさびしい前髪。

僕たちは広島にも行くというのに、よりによってそのネーミングはないだろう。「不謹慎だぞ!」と反論?するのがやっとの僕だったが、今思うと彼が広島を心から楽しみにする無意識がそのネーミングを生んだのであって、悪意はなかったのかもしれない。

そして、5時間ほどの移動の末にたどり着いた広島はどうだったかというと、戦争に関するマンガや図鑑、本を多数読んできた僕には9割9分が既視資料であったし、原爆ドームは中に入れるのだと勘違いしていたから少し残念だった。そりゃ入れないよね。

さらに、昼ごはんとして提供され、平和記念公園で食べた広島焼きは期待に反して、コンビニの弁当のようなパッケージで、味も冷凍食品さながらである。お店で食べたかったと多くの人が嘆いていた。

ここからまじめなお話です。

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でも、平和記念公園は一度足を踏み入れてみてほしい場所だと感じました。あそこには原爆ドームと資料館以外は、ひたすらに綺麗な草原が広がっています。

悲劇の象徴として時間が止まったままの原爆ドームと、平和を演出しているようにも見えるこの草原。この2つが共存していることは、歪なコントラストを感じさせます。あの感覚はあの場に流れる空気があるからこそ感じるものだと思うのです。

平和というイメージが妙につっかかるんです。まだあの場所がうったえている悲劇はきっと終わっていません。そう思わされるオーラがあそこにはありました。本当の意味での平和への道のりは尊く遠い。

いつか沖縄にも行きたいです。沖縄を歌ったこの曲のPVの紹介と共になつかしい見学旅行の話を締めます。


「沖縄 慰霊の日」himeyuri ~ひめゆりの詩~ / MONGOL800 - YouTube