【アルバム紹介】おしゃべりするようなアンサンブルが心地いい 『SAYONARA / SAKEROCK』
SAYONARA / SAKEROCK
星野源がバンドマスターのインストバンド、SAKEROCKの最後のアルバムを聴いた。
- アーティスト: SAKEROCK
- 出版社/メーカー: カクバリズム
- 発売日: 2015/04/08
- メディア: CD
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彼らのアルバムを聴くのははじめてだ。つまり、最初で最後だ。と言っても録音技術とは偉大なもので、このアルバムを入り口にさかのぼることだってできる。蓄音機を発明してくれてありがとうエジソン。
灯油ストーブの匂いといっしょにぽかぽかと聴きたい
冷たさが肌に刺さるような気温になってきたこの季節に、灯油ストーブで部屋をぽかぽかさせながら再生ボタンを押す。まさにこのシチュエーションにぴったり合うウォームな音が、なつかしいメロディーが部屋の中に広がった。ぼくは冬になるとハンバートハンバートを聴きたくなるのだけれど、この音から受ける印象はその感覚にとても似ている。
歌うトロンボーン、おしゃべりするようなアンサンブル
それにしても、トロンボーンがいい。「トロンボーンが歌っているようだ。」ぼくの中でトロンボーンの響きは、数ある楽器の中でかなり独特な位置づけだ。この響きはなんだかまぬけな感じがして、フレンドリーな親しみやすさがある。ドジっ子のおじさんみたいなのに、もの哀しそうな顔も見せる。きっとふるまいはユーモラスだけれど、繊細な性格なんだろうな。人ではないけれど。
濃厚で複雑な楽曲たちではない。でも、おしゃべりするように楽器と楽器が重なっていくのが気持ちいい。喫茶店でざわざわと聞こえるしゃべり声みたいだ。
本を読んだり、部屋で作業をしたりするときに聴いていきたいアルバムでした。