true harmony

短文文化のこの時代に、感じたこと、考えたことを徒然なるままに。

TSUTAYAという名のタイムカプセル

何年もお世話になったTSUTAYAに久しぶりに

大学生活で最後の夏休みになる。
一人暮らしのアパートを離れ、地元に帰ってきた。

滞在期間がほとんど平日だから、働いている友達に会うこともなく、お盆時期でもないので、帰省している友達がいるわけでもない。
そんなわけで、ひきこもりライフを謳歌していた。

陽を浴びないのも不健康だと思いたち、久しくご無沙汰している地元のTSUTAYAに行くことにした。

いつも本屋に行くと「音楽」「小説」「新書」のコーナーしか見ないけど、今回は気合を入れ?いろんなコーナーをぶらぶら周った。
店内を歩いていると、昔の記憶がフラッシュバックする。

あんな本、買ったなあ。

このTSUTAYAには小学生のころから何度もきている。
本棚の中身やカテゴリーの配置こそちがうものの、棚自体の位置はあまり変わっていない。

デュエルマスターズのカード一覧本を予約して買ったな、とか。 この辺りのわかりにくい位置に大塚角満さんの「モンハンプレイ日記」があったな、とか。
本と棚の位置がセットで記憶されているようで、昔買った本を思い出した。

『モンスターハンター』プレイ日記 本日も逆鱗日和

『モンスターハンター』プレイ日記 本日も逆鱗日和

エロ本を読みあさるおじいさん、そしてエロ本は宙を舞った!

PCコーナーの隣にはアダルトコーナーがある。
中高生のころは「学校の友達が遠目から見て、エロ本をあさっていると誤解したらどうしよう。」 だなんて杞憂な不安におそわれながらパソコン雑誌を立ち読みしていた。

中学1年生のとき息をあらくしたおじいさんが、 破れそうな勢いでエロ本のページをめくり、アップの女の人のおしりが宙を舞っていた。
その光景が、今でも目に焼きついていて困ったものだ。

「歳を追うごとにエロの探究心は下へ下へと移るというが、やはりおじいさんは太ももやおしりが好きなのだろうか。」
想像をふくまらせながら書店を後にしたあの日から、もう10年近い時間が経ってしまった。

中古本コミック売り場に流れる退廃的な空気

中古本コーナーに足をふみ入れると、退廃的な雰囲気を感じた。
きっと高校生のとき気分がどうしても晴れなくて、風邪でもないのに自分に風邪と言い聞かせ、学校を休んだ日を思い出すからだ。

あの日、平日の真昼にTSUTAYAにいくとニートのような人たちがたくさんいた。
別にニートが嫌いなわけではないし、その人にだって事情はあるだろう。

だけれどあの空間に流れている重い空気の中に、飲みこまれてしまいそうな気がして、それだけは怖かった。
「平日の真昼のTSUTAYAの中古コミック売り場」は裏側の世界のようだ。

もしかすると自分の気持ちが暗かったから、そう見えたのかもしれない。
それでも未だに当時の記憶がバイアスをかけるのか、中古本コミック売り場の空気は重い気がしてならない。

おわりに

そんなこんなで引きこもりリハビリを兼ねた、TSUTAYAから足を去った。
昔から通っている場所に久しぶりに行くと、いろんな事を思い出すんだなあ。