筒井頼子『はじめてのおつかい』は、人生のドキドキを書いた絵本
なつかしいなあ絵本
今日、中学生になってから一度も読んでこなかった絵本を読んだ。
なぜ、絵本を読むことにしたか。
ここのところの自分は、頭が固いと感じていたので、絵本を読むことで少しでも頭をほぐせる気がしたからだ。
記念すべき、絵本再デビューの1冊目は、あかねが幼いころのお気に入りだったという『はじめてのおつかい』にした。
感想
はじめてのおつかい』はタイトルの通り、みーちゃんが母に頼まれておつかいにいくお話だ。
だから主人公は幼いみーちゃん。小さな子がメインだから絵の視界が全体的に低い。
塀は自分より高いし、塀にかかる木はとっても雄大だ。
大人は腰から上が切れている。
こどもから見た世界は、とっても大きくて迫力があることを思い出した。
そういえば小さいころ、「茶だんすの上になにがあるんだろう?」ってわくわくしてたなあ。
子どもから見た景色に出会えるのが絵本の魅力でもあるようだ。
もうひとつ、『大人が伝えたいこと』と『こどもから見た世界』が共存しているのも魅力だと感じた。
『はじめてのおつかい』は『ドキドキ』
本編の感想
はじめてのおつかいは、『ドキドキ』の物語だ。
お金を持って買い物にいく『ドキドキ』
自転車にひかれそうになる『ドキドキ』
他人に話しかける瞬間の『ドキドキ』
『ドキドキ』が他にもたくさん描かれている。
女の子は小さな勇気をふりしぼって、失敗しながらも『ドキドキ』をのり超えていく。
坂道で転ぶ。だけど立ち上がって走りだす。
お金を落とす。だけど探して走りだす。
緊張して声が出ない。だけどもう一回がんばってみる。
がんばってみたけど気の効かない大人(他のお客さん)にかきけされる。
そうやって失敗しながらついに牛乳を買えた!
緊張がぷつりと切れて、がまんしていた涙がこぼれる。
不安と喜びの涙。
おつりを受け取るのを忘れて、女の子はかけていく。
一つの目標を達成した瞬間に、頭が真っ白になるところに共感する。
ここで描かれているのは、『未知への挑戦』『失敗』『勇気』『達成感』だ。
そして全てにみいちゃんはドキドキしている!
そして作中に見守ってくれる人、誤ってくれる人、驚いてくれる人がいるのもあたたかくて良いところ。
これって正に生きることだと思った。
人生は挑戦の繰り返し。
仕事をすることも、恋をすることも、友達と仲良くなくることも。
全く同じことって一つもなくて、その瞬間ごとに挑戦して失敗して勇気を出して乗り越えて達成して喜ぶことの繰り返しだ。
成功したときにはちゃんと褒めてくれる人がいる。見守ってくれる人がいる
友達に言いたいことがあるとき、意見をいうとき、喉で言葉がつっかえてしまうのは、みーちゃんが声を出せないのとおんなじだ。
この作品は、おつかいというテーマに生きてく中で感じていくことが凝縮されている。
生きていくのは、このドキドキの繰り返しだと思う。
生きていくことに慣れてくると挑戦することや未知へのわくわくを忘れてしまう。
まっさらなみーちゃんが等身大のドキドキという感情でそれを教えてくれる。
ドキドキしながら生きていこう